サブスタンス(The Substance)/2025

作品情報

キャスト

  • デミ・ムーア(エリザベス・スパークル/元女優)
  • マーガレット・クアリー(スー役)
  • デニス・クエイド(ハーヴェイ役/番組のプロデューサー)
  • エドワード・ハミルトン=クラーク(フレッド役/同級生)
  • ゴア・エイブラムス(オリバー役/隣人)
  • オスカー・ルサージュ(トロイ役/スーが最初に連れ込んだ男)
  • クリスチャン・エリクソン(ダイナーのおじいさん役)
  • ロビン・グリア(男性看護師役/サブスタンス施術施設のスタッフ)
  • トム・モートン(医師役)
  • ヤン・ビーン(サブスタンス/声の出演)

あらすじ(ネタバレなし)

若さと美貌を取り戻す“禁断の薬”を手にした元スター女優。
その副作用は、彼女の体内から“もう一人の自分”を生み出すことだった。
週に一度、肉体を交代する奇妙な共存生活が始まる――。
だが、若く完璧な“彼女”は、次第に主導権を握り始める。

以下、ネタバレあり

あらすじ(ネタバレあり)

🟩起:忘れられたスター、エリザベス・スパークル

かつて映画界で名を馳せた女優エリザベス・スパークルは、年齢を重ねたことで仕事を失い、ケーブルテレビのフィットネス番組に出演する日々を送っていた。
プロデューサーのハーヴェイは若い女性に番組を交代させる方針を取り、エリザベスは降板を告げられる。
失意の中、彼女は病院で偶然「サブスタンス」という再生医療の存在を知る。
それは“より良い自分”を生み出すという薬であり、エリザベスはそのキットを入手する。
自宅で薬を注射すると、彼女の体内から若く美しい女性“スー”が誕生する。
スーはエリザベスの肉体から分離した存在であり、週に一度交代するというルールのもとで生活を始める。

🟨承:完璧なスーの誕生と成功

スーは若さと美貌を武器に、瞬く間にメディアの世界で注目を集める。
エリザベスの名義で活動しながらも、彼女自身の魅力で周囲を惹きつけ、かつてのエリザベス以上の成功を収めていく。
一方、エリザベスはスーの活躍を見ながら、次第に嫉妬と不安を募らせる。

交代のルールを守るため、2人は週ごとに肉体を入れ替えるが、スーはその制約に不満を抱き始める。
やがてスーは「もっと長くこの体でいたい」と主張し、エリザベスの存在を疎ましく思うようになる。
街中で、サブスタンスを使うようにエリザベスに仕向けた看護師の母体と出会う。
スーに蝕まれている不安を抱えながら、エリザベスは以前声を掛けてきた同級生のフレッドと連絡を取るが、自身の見た目の衰えを以前より深刻に感じ、人前に出られなくなる。

エリザベスはスーの暴走を止めようとするが、スーはだんだんと「1日だけ」「あと1日だけ」と約束を破る。

🟥転:破られたルールと対立の激化

スーは交代のルールを破り、エリザベスに肉体を返さずに活動を続ける。
エリザベスは自宅に閉じ込められ、スーの活躍をテレビ越しに見守るしかなく、暴食を繰り返す。
エリザベスはスーがルールを破ったことで体を老化させながらも、スーに対抗しようとするが、周囲の人間はスーの魅力に惹かれ、エリザベスを忘れていく。
スーはテレビ番組でエリザベスを嘲笑し、自分こそが“時代の最先端”であるかのように振る舞う。

スーは既にエリザベスと別人格であり、エリザベスは自身がスーである時の発言に不快感を覚える。
スーは、ストレスから暴走するエリザベスの存在を完全に消すため、入れ替わりの拒否をする。
休みなくスーとして活動することで大成功を収めたスーだが、エリザベスの溶液が切れてしまい、仕方なく久々にエリザベスに入れ替わる。

🟦結:怪物の誕生と崩壊

エリザベスはスーが自分の人生を乗っ取り、単なる養分としていたことに怒り狂い、サブスタンスの使用終了を決意する。
エリザベスはスーを処分するため薬の処理を試みるが、スーの若さと魅力、自分自身が無しえなかった成功に再び執着し、結局スーを復活させてしまう。
復活したスーはエリザベスの行動に激怒し、彼女を撲殺する。

スーはその後、安定化体液不足の副作用によって肉体が崩壊し始め、大晦日のMC番組前に自宅へ戻る。
苦し紛れで、最初に使用した細胞を分裂させる薬を注入し新しい身体を手に入れようとしたが、薬が足りず中途半端な化け物が生まれる。
その姿でテレビ局に向かい、MCとして壇上に上がるが、異形化した姿に会場は混乱し、スーを化け物と蔑む。
逃げ出したスーは、肉体が崩壊して路上で絶命する。

ラストでは、サブスタンスのキットが別の女性に届けられる描写が入り、同じ悲劇が繰り返される可能性を示して物語は幕を閉じる。

感想(ネタバレあり)

「若さ」「美しさ」への執着は女性がいずれ誰でもぶつかるよね。
でも、中身が伴っていれば気にならないのか、生活が充実していたら気にならないのか、没頭できる何か(趣味や、あるいは子育て等)があれば気にならないのだろうか。

得体の知れない蛍光色の液体を体に注入する様は明らかに狂っていた。
こんな怪しい物を体に入れる、しかも経口ではなく注入を決断してしまうところまで追い込まれる…。
でも今の時代、これは「大げさすぎる演出」「そんなわけないストーリー」ではない。
巷では痩せ薬を注入する若者が多い。
そして、医療廃棄物を駅のトイレに捨てるらしい…。

スー、とっっっってもスタイルがいい!!
お尻がきゅっと上がっていて乳首が綺麗なピンク。
白人ってこんなに乳首が綺麗なんだなあ。
柔らかい身体で180度開脚した美しさ。
この身体を見られただけでも素晴らしい映画かもしれない。

しかし、全体的に痛い映像が多め。
注射器を刺すシーン、母体を縫うシーン、バカ長い針で母体から髄液みたいなのを抜くシーン、血を入れ替えるシーン…

1個気になったのが、スーの前歯がちょっとすきっ歯!
私は自分のすきっ歯が気になって矯正をしたけど、元の顔が綺麗ならいいの?
それと、意識を失った母体の方、目を開いたままで乾燥しないのかしら(笑)

スー役のマーガレット・クアリー、見たことあるなあと思っていたら、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)」のプッシーキャット役や「哀れなるものたち(2024)」の飛び降り自殺して胎児の脳を移植された女性の役だ!
綺麗だけど、エアロビの派手メイクより普通のメイクの方が良いなあ。

隣に住むオリバー。
スーが若くて綺麗な女性だと分かるとすぐに性的な目で見てきて無理に食事に誘うシーンがあるけど、これも大げさではなくよくある事。
こんなに綺麗でスタイルが良くない一般的なただの女に生まれてきても、こういう誘いは日常的にある。
こんなに綺麗なスーがただの隣人と飲むわけないやろ!自重しろ!
そして、元のエリザベスは「おい!邪魔だよ!」「うるさいんだよ!」と蔑まれ、女として扱われないのが苦しくなる…
で、格下だと思っていた同級生を自分から誘う。
その気持ちも想像できる。
ちょうど良いのが良いんだけど、上手くいかないのね。

肌を見せるのが怖くなる。
私の肌はもうボロボロ。
目元もくすんでる。
唇もガサガサしてる。
髪の毛もパサパサ。
ダメだ、これじゃダメだ…もう嫌ー!!!
そして遅刻…またはドタキャン。
その気持ち、分かるよお~。
何回もしたことがある。

どうやら、コスプレをすると「別人になれた気がする」らしいので、体も年齢も変わったらよりそうなるよね。
スーの時に発した自分の言葉も憎くなってしまう。
しかし、それでも、スーに入れ替わってしまう。辞められない。

スーがさらに分裂するシーンは、なんだか「ゲームで苦し紛れの新しいセーブデータを作ったけど、そのデータ自体も瀕死の状況で何も変わらなかった」みたいな感じだなと思った。

✅魅力に感じたところ

  • 設定の斬新さ
    若さと美貌を“複製”する薬というアイデアが、整形や再生医療の延長線としてリアルかつ寓話的。
  • デミ・ムーアの演技
    老いと嫉妬、依存と破滅を体現する演技が高評価。スーとの対比が鮮烈。
  • 映像と音響の演出
    上からのアングルや一点集中のカメラワーク、音の強調などが緊張感を高める。

❓気になったところ

  • 構造の粗さ・展開の唐突さ
    スーの暴走やエリザベスの行動に説得力が欠けるため感情移入しにくい場面がある。
  • 既視感のあるテーマ
    週刊ストーリーランドや世にも奇妙な物語を思い出す。
  • グロテスク描写の過剰さ
    肉体の崩壊や撲殺シーンなどが過激。

🎥映像について

この作品は、構造の粗さを含めて“見る者の感覚を揺さぶる”ことに特化した映画。

  • カメラワークの工夫
    上空からの俯瞰、極端なクローズアップ、静止した構図などが不安定さを演出。
  • 音響の強調
    食事音やBGMの入り方が異常に強く、感覚的な不快感と高揚感を同時に与える。
  • 色彩と照明
    スーの登場時は鮮やかで、エリザベスの場面はくすんだ色調。視覚的に支配と衰退を表現。
  • 肉体変化のVFX
    スーの異形化やエリザベスの崩壊は、CGとメイクの融合で強烈な印象を残す。

以上、「サブスタンス」の感想でした。

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