ミスティック・リバー(Mystic River)/2004

4.0

作品情報

キャスト

  • ショーン・ペン(ジミー・マーカム役/元犯罪者で雑貨店経営者)
  • ティム・ロビンス(デイヴ・ボイル役/誘拐被害の過去を持つ男)
  • ケヴィン・ベーコン(ショーン・ディバイン役/殺人事件を捜査する刑事)
  • ローレンス・フィッシュバーン(ホワイティ・パワーズ役/ショーンの相棒刑事)
  • マーシャ・ゲイ・ハーデン(セレステ・ボイル役/デイヴの妻)
  • ローラ・リニー(アナベス・マーカム役/ジミーの妻)
  • エミー・ロッサム(ケイティ・マーカム役/ジミーの娘)
  • ケヴィン・チャップマン(バル・サベッジ役/地元警察官)
  • トム・グイリー(ブレンダン・ハリス役/ケイティの恋人)
  • スペンサー・トリート・クラーク(レイ・ハリス役/ブレンダンの弟)
  • アダム・ネルソン(ニック・サベッジ役/バルの息子)

あらすじ(ネタバレなし)

ボストン郊外、幼なじみの3人はある事件をきっかけに再び交差する。
過去の傷と現在の悲劇が絡み合い、真実は静かに姿を変えていく。
それぞれの選択が導く結末とは。

以下、ネタバレあり

あらすじ(ネタバレあり)

🟩起:誘拐された少年と再会する男たち

ボストン郊外のイーストバッキンガム地区で、ジミー、ショーン、デイヴの3人は少年時代を共に過ごしていた。
ある日、遊んでいた最中に警官を装った男たちに声をかけられ、デイヴだけが車に乗せられて誘拐される。
彼は4日間監禁され、性的虐待を受けた末に逃げ出すが、この事件を境に3人の関係は疎遠になる。

25年後、ジミーは犯罪から足を洗い雑貨店を営み、ショーンは刑事となり、デイヴは家庭を持つが心に傷を抱えていた。
ある夜、ジミーの娘ケイティが何者かに殺害される。
ショーンは事件の捜査を担当し、ジミーは独自に犯人を探し始める。
事件当夜、デイヴは血まみれで帰宅しており、妻セレステは不安を募らせる。

🟨承:疑惑と不安が広がる夜

ケイティの死をきっかけに、ジミーはかつての仲間たちと情報を集め始める。
ショーンは警察として捜査を進めるが、ジミーは独自に動き、娘の恋人ブレンダンやその家族にも接触する。
一方、デイヴは事件当夜に少年を襲った男を殺したと語るが、詳細は曖昧で、セレステは夫がケイティ殺害犯ではないかと疑い始める。
彼女はジミーにその不安を打ち明ける。
ジミーはデイヴの行動に疑念を抱き、彼を呼び出す。
ショーンは捜査の中で、ケイティがブレンダンと駆け落ちを計画していたことを知る。
事件の真相はまだ見えず、町には緊張が漂う。
デイヴは精神的に不安定なまま、ジミーとの対峙を迎える。

🟥転:誤解と復讐の夜

ジミーはデイヴを問い詰め、事件当夜の行動を詳しく聞き出そうとする。
デイヴは少年を殺したと主張するが、ケイティ殺害との関係は否定する。
ジミーは「本当のことを言え」と脅し続け、デイヴは追い詰められた末に「自分がケイティを殺した」と誤って告白してしまう。
ジミーはその言葉を信じ、デイヴを殺害し遺体を川に沈める。
一方、ショーンは真犯人を突き止める。
ケイティを殺したのはブレンダンの弟レイとその友人ニックだった。
彼らはケイティに憧れ、衝動的に犯行に及んでいた。
デイヴが語っていた少年殺害も事実であり、ケイティの事件とは無関係だった。
ジミーは誤って親友を殺してしまったことを知る。

🟦結:沈黙とすれ違いの朝

事件の真相が明らかになり、ショーンはジミーに「デイヴを殺したことはわかっている」と告げるが、逮捕はしない。
ジミーは罪の意識に苛まれながらも、家族の前では平静を装う。町ではパレードが行われ、ジミーはアナベスと共に参加する。
ショーンは妻との関係修復を図り、電話で再会の約束をする。
ジミーはショーンに向かって銃を構えるジェスチャーをし、ショーンはそれを受け流す。
デイヴの死は隠蔽され、誰も真実を語らないまま物語は終わる。

感想(ネタバレあり)

この映画は、太陽の光のコントラストがとても強く感じた。
光と闇、正義と復讐、そういう裏表を表しているように見えた。

ブレンダンの父親・レイの拳銃の話が出て、あー犯人は息子のレイだ!とわかってしまった。
銃声を聞いてたオバチャンは「女性の声かも?」と言っていたが、断定できない=声変わり前の子供か、被害者本人の声か、これまで声を出していない人…ということで。
こういうところで「実はゴリゴリの男性が犯人でオバチャンのは気のせいでした〜」というのはまずあり得ない。

犯人に目星がつくと、動機は「優しくしてくれるお兄ちゃんがいなくなったら嫌」だからかな?とすんなり決まり、合点が入った。
通報のテープの声も、改めて聞くと少年だなぁという感じ。
しかし蓋を開けてみたら、殺したことにそんな大きな理由はなくて、その方がやるせない…。
友達も共犯だとは気づかなかった。

ラスト25分の、デイブを捲し立てる真っ暗なシーンでは、ジミーは顔の右側のみ、デイブは左側のみが浮かび上がっていた。
宗教画なんかでもよく使われる
右顔=理性・正義、左顔=感情・悪といった光と影、善と悪の対比が明確に表現されていた。

ジミーとデイブの「言えば殺さない」
ブレンダンとレイの「言わないと殺してやる」
似たようなセリフだけど、少し違う。
そしてショーンもまた、奥さんに「話してほしい」と思っていた。
この映画は「誤解」と「沈黙」が多い。

そして復讐が復讐を引き起こすことになるのだ…。

✅魅力に感じたところ

  • 俳優陣の圧倒的な演技力
    ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンらがそれぞれの葛藤を繊細かつ力強く演じ、物語に深みを与えている。
  • 脚本の緻密さと構成力
    過去と現在が交錯する構造が巧みに設計されており、伏線の張り方と回収が自然で説得力がある。
  • 心理描写の深さ
    登場人物の選択や沈黙に至るまで、感情の揺れが丁寧に描かれており、観客に余韻を残す。

❓気になったところ

  • 重苦しいトーンが続く
    とにかく終始暗く重い雰囲気で展開されるため、疲労感や閉塞感を覚える。
  • 一部キャラクターの描写が薄い
    ケヴィン・ベーコン演じるショーンの私生活描写が物語に絡みにくく、蛇足と感じる声もある。
  • 救いのない結末
    物語の終着点が非常に冷酷で、希望や再生の兆しがほとんど描かれないため、好みが分かれる。

🎥映像について

この作品は、演技・構成・映像が三位一体となって「静かな衝撃」を生むタイプの映画。

  • 淡い自然光と陰影の演出
    トム・スターンによる撮影は、秋の陽光や曇天を活かした陰影表現で、登場人物の内面を映し出す。
  • 静かなカメラワーク
    派手な演出を避け、じっと人物を見つめるような構図が多く、緊張感と哀しみを醸し出している。
  • 音楽と映像の融合
    クリント・イーストウッド自身が手がけた音楽が、映像の余韻と静けさを引き立てている。

以上、「ミスティック・リバー」の感想でした。

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