エクストリーム・ジョブ(Extreme Job)/2020

4.0

作品情報

  • 公開:2020年01月03日
  • 上映時間:111分
  • 制作:韓国
  • 監督:イ・ビョンホン
  • 視聴方法:U-next

キャスト

  • リュ・スンリョン(コ・サンギ役/麻薬捜査班の班長・警察官)
  • イ・ハニ(チャン・ヨンス役/麻薬捜査班の紅一点・元ムエタイチャンピオン)
  • チン・ソンギュ(マ・ポンパル役/麻薬捜査班のトラブルメーカー・厨房長)
  • イ・ドンフィ(キム・ヨンホ役/麻薬捜査班の冷静な常識人・監視担当)
  • コンミョン(キム・ジェホン役/麻薬捜査班の新人・熱血タイプ)
  • キム・ウィソン(署長役/麻浦警察署長・麻薬班の上司)
  • オ・ジョンセ(テッド・チャン役/麻薬組織のコンサルタント・敵側)

あらすじ(ネタバレなし)

失敗続きの麻薬捜査班が、犯罪組織のアジトを監視するためにフライドチキン店を買収。
潜入捜査のはずが、店のチキンが大人気となり、捜査と営業の両立に翻弄されていくアクションコメディ。

以下、ネタバレあり

あらすじ(ネタバレあり)

🟩起:崖っぷち捜査班、チキン屋を買う

麻薬捜査班の班長コ・サンギは、署長から「次の捜査で成果が出なければ班を解散する」と最後通告を受けていた。
班員たちはそれぞれクセの強いメンバーばかりで、過去の捜査も失敗続き。
そんな中、国際麻薬組織の幹部ホンが出所し、再び動き始めたという情報が入る。

コ班長はホンのアジトを突き止め、張り込みを開始するが、アジトの向かいにあるフライドチキン屋が閉店寸前であることを知る。
張り込み拠点を失うことを恐れた彼は、なんと自腹で店を買い取り、偽装営業を始めるという奇策に出る。
班員たちは戸惑いながらも、潜入捜査の一環としてチキン屋の運営を開始。
警察官がチキン屋をやるという前代未聞の作戦が、ここに始まった。

🟨承:潜入捜査、まさかの大繁盛

偽装営業のはずだったチキン屋は、マ・ポンパル刑事が考案した「カルビ味チキン」が予想外の大ヒット。
SNSで拡散され、客が殺到し、店は一躍人気店に。
捜査班は本来の目的を忘れかけながら、厨房と接客に追われる日々を送る。
TV取材まで舞い込み、署長にもバレそうになるが、なんとかごまかす。

一方、ホンの動きは掴めず、出前を通じて潜入を試みるも、アジトはすでに移転済みだった。
捜査は空回りし、チキン屋の評判だけが先行する。
班員たちは営業と捜査の両立に苦しみながらも、次第に店の成功に浮かれ始める。
警察官としての使命と、人気店の店員としての現実が交錯し、物語は奇妙な方向へと進んでいく。

🟥転:チキンに潜む麻薬、裏切りの連鎖

チキン屋の人気が加熱する中、不当な値上げや他店のチキン使用をマスコミが報道し、炎上。
署長の怒りを買った捜査班は停職処分となり、事実上の解散状態に。
そんな中、チキン店のチェーン展開を持ちかける男が現れ、コ班長は再起をかけてその話に乗る。
しかし男は麻薬組織の一味で、チキン店を隠れ蓑に麻薬を流通させる計画だった。
全国に広がった店舗は、品質低下や接客トラブルを起こし、コ班長たちは実態調査に乗り出す。
出前先の客が麻薬中毒者であることから、チキンが麻薬の運搬手段であることを突き止める。
捜査班は再び本来の使命に立ち返り、麻薬組織の壊滅に向けて動き出す。
裏に潜む犯罪の構造が、ここで明らかになる。

🟦結:チキンの皮を破って、正義が炸裂

麻薬組織のアジトを突き止めた捜査班は、潜入を試みるが、マ刑事が敵に捕らえられ監禁されてしまう。
彼の携帯から位置情報を得た班員たちは救出に向かい、マ刑事も柔道の腕を活かして脱出。
ついに組織のボス、イ・ムベとテッド・チャンの取引現場に突入する。
携帯のサイレン音で両組織を混乱させ、乱闘の末に制圧。
逃げようとするイ・ムベをコ班長が追い詰めて逮捕し、麻薬組織は壊滅。

かつては失敗続きだった彼らが、正義と笑いを貫いて逆転勝利を収める。
捜査班は表彰され、特別昇進。
潜入捜査は、極限の職業から極上の勝利へと変わった。
ラストには、チキン屋の看板が再び掲げられ、彼らの「第二の人生」が始まる予感を残して幕を閉じる。

感想(ネタバレあり)


友人に勧められて視聴した作品。
それまで韓国映画はほとんど見たことが無く、鑑賞したことがあるのもシリアスな作品のみだったので、初のコメディだった。

韓国の面白いことわざで、起承転鶏(きしょうてんけい)というものを数年前に知った。
どんな高学歴やキャリアを積んでも、最終的には「結局はチキン屋を開業するしかない」という、韓国社会の閉塞感や若者の絶望感を表現する言葉だそうだ。
このワードセンスに脱帽。
数年前に見た「今、私たちの学校は…」という韓国ドラマでも、一人の親がヤンニョムチキン屋を経営していた。
それくらい、チキン屋は身近にあるらしい。

あらすじを入力していて思ったのが、「転」の部分の「チキン店のチェーン展開を持ちかける男が現れ、コ班長は再起をかけてその話に乗る。」という文章。
自分で書いていて「再起をかけるのはそこじゃないだろ!」とツッコミを入れてしまった。
でも、この作品はツッコミだらけ!
久しぶりにかなり笑った。

最後の銃撃戦なんかは、それが本筋なんだろうけど…
ちょっとコメディ部分を期待して楽しく見てしまっていたため、そこはもういらないかもー!と思ってしまった。
全国展開してからラストまでは、尻すぼみというか…
自分的には、そこがあと一歩だった。

入力していて気付いたことだけれど、俳優の「イ・ビョンホン」が監督にも挑戦してみた作品なのかなと思ったら、全くの別人だったらしい。

✅魅力に感じたところ

  • 設定のアイデアが秀逸
    潜入捜査のために始めたチキン屋が本業を凌ぐほど繁盛するという展開は、笑いと皮肉が効いていて非常にユニーク。
    刑事たちが「店を手伝え!」と怒る場面は、逆転構造が面白くて大笑い。
  • キャラクターの魅力とチーム感
    ポンコツに見える麻薬捜査班が、実は肉弾戦ではめっぽう強く、最後にはしっかり決める。
    それぞれのキャラが立っていて、信頼関係や絆も感じられる。
  • テンポの良さとギャグのセンス
    韓国映画らしいテンポの良さと、少年ジャンプ的なギャグの応酬が絶妙。
    「ガムテープで敵を巻く」など、細かい笑いの演出が散りばめられていて飽きない。

❓気になったところ

  • リアリティの欠如
    潜入捜査中に顔出しでニュースに出るなど、現実ではあり得ない展開が多く、リアリズムを求める人には不向き。
  • ストーリーの中盤がやや冗長
    チキン屋の繁盛描写が長く続くため、麻薬捜査という本筋が一時的にぼやけてしまい、どうでもよくなってしまった。
  • 敵キャラの描写が軽い
    麻薬組織の描写がギャグ寄りで、緊張感が薄い。
    コメディとしては成立しているが、サスペンス性は弱め。
  • 好みが分かれる笑いのスタイル
    ベタなギャグや韓国特有のノリが強いため、世代や文化によっては「合わない」と感じる人もいる。

🎥映像について

この作品は、笑いとアクションが融合した作品ですが、映像的な魅力はそこまで見出せませんでした。

  • アクションシーンの構成力
    肉弾戦のカット割りがスピーディで、見せ場の連続。
    特にラストの5人vs麻薬組織の戦いは、カメラワークと編集がテンポよく、爽快感がある。
  • ギャグと映像の融合
    敵が自らガムテープで巻かれるなど、映像で笑わせる演出が多く、視覚的にも楽しめる。
    画面の構成が「笑いの間」をしっかり計算している。

以上、「エクストリーム・ジョブ」の感想でした。

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