作品情報
キャスト
- キャストエリザ・スカンレン(エリー役)
- ディラン・オブライエン(パリス役)
- ローレン・アンブローズ(セレステ役)
- エリック・ラング(ダニエル役)
- サム・ヘニングス(ベン役)
- キャロライン・フォーク(アンナ役)
あらすじ(ネタバレなし)
キャドー湖で起きた少女の失踪をきっかけに、過去の悲劇と謎が交錯する。
2人の主人公がそれぞれの想いを胸に、湖の奥深くへと導かれていくミステリアスな物語。
以下、ネタバレあり
あらすじ(ネタバレあり)
🟩起:少女の失踪と家族の不安
エリーは母セレステと、義父ダニエル、義妹アンナと暮らす少女。
幼いころに実の父親が失踪しており、その喪失感をずっと抱えている。
母親が新しい家族を作ったことに反発し、反抗期を迎えている。
そんなある日、自宅付近のキャドー湖で義妹アンナが失踪し、エリーは過去の家族の傷と向き合いながら、彼女の行方を追い始める。
実は、湖にはかつて実の父が失踪した記憶もあり、不穏な空気が漂う。
🟨承:青年パリスの過去と湖の謎
一方、青年パリスは、母の死の真相を探る中でキャドー湖に辿り着く。
彼は母がかつて教師として働いていたこと、そして湖にまつわる奇妙な記録に興味を持ち、調査を進める。
干ばつによって湖底が現れたとき、パリスは湖に“時間の歪み”が存在することに気づく。
過去と現在が交錯するその場所で、彼はタイムリープを経験し、1952年の過去へと飛ばされる。
そこで彼は倒れていたアンナを発見し、彼女を作業員に託して保護させる。
アンナはそのまま過去の世界で生き続け、やがて教師として働き、ベンという男性と結婚してパリスを出産する。
つまり、パリスはアンナの息子であり、エリーの父という驚きの血縁関係が生まれる。
パリスの視点を通して、湖がただの自然現象ではなく、時空を超えた記憶の交差点であることが明らかになっていく。
🟥転:交錯する時代と血縁の真実
エリーはアンナの失踪を追う中で、自らもタイムリープを経験し、過去の母セレステと赤ん坊の自分に出会う。
この体験を通じて、彼女は自分の出生の真実を知ることになる。
アンナは過去に生き続け、パリスを産み、パリスはセレステと関係を持ち、エリーが生まれる。
つまり、エリーはアンナの孫であり、パリスの娘という複雑な血縁関係が浮かび上がる。
物語はここで大きく転じ、登場人物たちの関係性が逆転し、時間軸がねじれる。
湖に残されたネックレス、歯、ワニの死骸などの伏線が回収され、過去と現在が繋がっていく。
エリーが嫌っていた義父ダニエルも、実は彼女の“ひいおじいちゃん”にあたる人物であることが示唆され、家族の歴史が再構築される。
この転換によって、キャドー湖は単なる失踪事件の舞台ではなく、家族の記憶と時間が交錯する“物語の核”となる。
🟦結:湖に沈む記憶と余韻
エリーとパリスがそれぞれの過去と向き合い、キャドー湖に沈んだ記憶を静かに受け入れていく。
アンナの失踪は、単なる事件ではなく、家族の再構築と再発見のきっかけだったことが明らかになる。
エリーは自分の出生の真実を知り、母セレステとの関係にも新たな理解を持つようになる。
パリスは母アンナの人生を知り、彼女が自分を守るために選んだ過去の生き方に感謝を抱く。
湖は、過去と現在を繋ぐ“記憶の装置”として機能し、登場人物たちはそれぞれの痛みや喪失を抱えながらも、静かな余韻の中で物語を終える。
感想(ネタバレあり)
2025年9月時点で観た作品の中で、最も難解な仕組みの映画でした。
しかし、これまで見たノーラン監督作品等と比較したらまだ見易い物語です。
最初は誰がどういう関係だかよく分からず…
あらすじも見ずに、タイトルと「シャマラン監督の作品」という認識だけで見たので、覚悟はしていたものの難しかったです。
どこの家庭も複雑すぎる。(笑)
そして、
どこからだろう、違う…この二人、そもそも同じ時代の人じゃない…?と気づきました。
二人がタイムスリップせずに同じ時代で顔を合わせて挨拶してるシーンもなったことに途中で気づいた瞬間は鳥肌ものでした。
失踪したアンナはどうやって戸籍を手に入れて、どうやって生きたんだろうか…
アンナが生きていたことは卒アルでしかそれは分からないけれど、きっと納得して幸せに過去で暮らしていたんだろうなと思います。
はじめは、スルーしてしまっていて何故パリスが干ばつの年を調べていたのかとかがよくわからなかったけど、2回目見たらなるほど納得。
エリーは、義理とはいえ妹の息子の娘!(つまり妹の孫)…複雑すぎる!!!
というかエリーの理解力と適応能力がすごすぎる。
自分の身に起こったら理解できないし受け入れられないと思います。
よく理解したな…
2回見たくなる作品でした。
✅魅力に感じたところ
- タイムリープの構造が巧妙なところ
→ エリーとパリスの時代が違うことに気づいた瞬間の「どんでん返し」が秀逸 - 伏線の回収が気持ちいい
→ ネックレス、ワニ、橋などの小道具がすべて意味を持って繋がっていく快感 - 家族の血縁関係が明かされる展開が衝撃的
→ アンナ=祖母、パリス=父、エリー=娘という逆転構造に驚き - 静かな余韻と感情描写が丁寧
→シャマラン作品ならではの「驚き」も残しつつ、「静かな感動」を重視している
❓気になったところ
- 序盤が個人的には分かりづらい
→ 時系列が錯綜していて、私は置いてけぼりになってしまい、巻き戻しして見直した。 - 説明不足でモヤモヤが残る?
→ 結末の解釈が難しい。私はパリスはダムの崩落で亡くなったと認識。
救われない結末(だからこそエリーの今があるのだけれど…)でスッキリはしない。
🎥映像について
この作品は、なによりロケーションの力を最大限に活かした美しさが魅力的。
- キャドー湖の湿地帯が幻想的かつ不穏
→ 水面に浮かんでいる霧、朽ちた橋、静かな森が「時間の歪み」を感じさせる - 時代ごとの風景の違いが巧妙
→ 同じ場所でも、朽ち方や観光地化の進み具合で「時代の違い」を表現している - タイムスリップの発動地点の演出が秀逸
→ 目に見えない、どこから発動するのか分からない神秘性があり、ワクワク感を煽る - 自然の力に抗えない人間の儚さを描く
→ 湖という「抗えない存在」が、物語全体のテーマとリンクしている
以上、「キャドー湖の失踪」の感想でした。
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