ファザーフッド(Fatherhood)/2021

3.5

作品情報

  • 公開:2021年
  • 上映時間:110分
  • 制作:アメリカ
  • 監督:ポール・ワイツ
  • 視聴方法:Netflix

キャスト

  • ケヴィン・ハート(マット・ログリン役/シングルファーザー)
  • アルフレ・ウッダード(マリオン役/リズの母)
  • リル・レル・ハウリー(ジョーダン役/親友)
  • ロドニー・アレクサンドル(ハワード役/リズの父)
  • クリスティン・ラン(ドクター・グレイ役/小児科医)
  • レティシア・ブルックス(アンナ役/マットの母)
  • クリストファー・ヘイズ(ポール役/学校関係者)
  • ジュリアン・ケイシー(ラリー役/上司)
  • ホーリー・ゴーサー・フランケル(マディの同級生役)

あらすじ(ネタバレなし)

突然シングルファーザーとなったマットは、娘マディを育てながら仕事や周囲の期待と向き合う。
慣れない育児に戸惑いながらも、彼は少しずつ父親としての一歩を踏み出していく。
その先に、思いがけない出会いと選択が待つ。

以下、ネタバレあり

あらすじ(ネタバレあり)

🟩起:突然の父親

マット・ログリンは妻リズと共に幸せな生活を送っていたが、リズはマディの出産直後に肺塞栓症で急死する。
マットは悲しみに暮れながらも、娘を一人で育てる決意をする。
周囲の家族や友人は、彼が父親としての責任を果たせるか懸念し、義母マリオンは「母アンナとミネソタに戻り子育てをするか、マディを私が引き取る」と主張する。
マットはどの申し出も断り、育児に不慣れながらも、仕事と子育てを両立させようと奮闘する。

夜泣きやおむつ替え、保育園の手続きなどに苦労しながらも、少しずつ父親としての生活に慣れていく。
しかし、職場では上司ラリーに育児との両立は難しいと説得され、仕事の継続にも不安を抱える。
マットは親友のジョーダンなど周囲の支援を受けながら、マディとの絆を深めていく。

🟨承:父としての挑戦

マットは娘マディとの生活を続けながら、育児と仕事の両立に取り組む。
職場でも様々な人が助言してくれるものの、上司ラリーに育児の事情を理解してもらえず、会議中にマディを連れてきたことで注意を受ける。
親友ジョーダンや同僚のオスカーは、マットを励ましながら育児の相談に乗る。

マディは成長し、幼児期を過ぎて小学校に入学する。
マットは学校行事や送り迎えなどに積極的に関わるようになる。
ある日、職場で出会った女性リズ・スワンと交際を始め、マディも彼女に懐く。
3人で過ごす時間が増え、マットは新たな人生の可能性を感じるようになる。

🟥転:揺れる選択

マットはスワンと交際を続ける一方で、マディが自分の服装にこだわりを見せ始める。
彼女は男物のパンツやズボンを好み、スカートを嫌がる。
マットはその選択を尊重し、学校にもそのままの格好で通わせる。

ある日、マディが学校で頭を打ち、病院に運ばれる。
リズが亡くなった病院でマディは処置を受けるが、マットは複雑な心境に葛藤する。
夜、スワンと話しながら、自分の育て方やマディへの影響について悩みを打ち明ける。
スワンはマットの不安に寄り添うが、マットはマディとの時間を優先するため、スワンとの関係に距離を置く決断をする。
マディは回復し、父との生活を再び取り戻すが、リズの形見であるネックレスをなくしてしまう。

マットは仕事の都合でミネソタへの短期出張が決まり、マディを連れて行くかどうか悩む。
ミネソタ出張の準備をしている間、マディはマリオンの家に滞在する。
その際、マットはマリオンから「事故は規則に従ずマディをけしかけた貴方のせい」と指摘され、自身の子育てに不安を覚える。
出発の日、マットはマディに別れを告げてマリオンの家を後にする。

🟦結:父と娘の絆

ミネソタ出張直前、職場の上司ラリーから「昇進の話が出ているので推薦した」と知らされる。
それは出張が頻繁にあるポストだった。

家中を探し回り、マディのベッドの隙間からリズの遺品のネックレスを見つける。
それを持ち、マットは出張のために飛行機を待つ。
空港でマディとの様々な思い出を振り返り、出張を取りやめてマディに会いに行く。
マディはネックレスを受け取り、母への思いと父との絆を再確認する。
マットはマディを連れて帰り一緒に暮らすことを決意する。
リズ・スワンとも再び連絡を取り、関係を再構築し、三人の生活が始まる。

感想(ネタバレあり)

「良いママになりたい」
これ、妻を亡くしてない全夫に思ってほしい!

娘の希望を尊重するのはとても大事なことだけど、先生からしたら「話を聞かない面倒くさい親」になってしまっている。
多分こういうところが、父親と母親の違いなのではないだろうか…。

マリオンのバースデーパーティ、びっくり。
たぶん60歳くらいとかだと思うけど、あんなにお友達が集まってパーティしてくれるなんて、アメリカだから?すごいなあと思う。

マットが寝付けない夜に、生まれた頃のマディの寝つきに使っていた掃除機をかけて眠りにつくところがすごくよかった。

最後に空港でオスカーに「信じているからな!」クロアチア語で「黙ってくれ!!」と言い残すマットのシーンにクスっとしたが、2回目に見たら序盤にオスカーはマットから「黙ってくれよ」と言われていた。
まさかのここが伏線だったとは(笑)
オスカーもしれっと子守唄やポーカーに参加しているシーンは微笑ましい。

人には人の状況があるのに、「ママはどうしたの?」と聞かれまくるのはつらいだろうな。
私も相手の状況をよく考えずに無神経に聞いてしまったりするけど…気を付けないと。

散々「お前には無理だ」「よく考えろ」と言われている中、検診の医師から「あなたと結婚した奥さんは幸せだ」と言われて義母のマリオンが涙し「小さな勝利」と称したシーンも印象的だった。

これは実話らしい。
監督は「父親が主人公の育児映画は少ない。母親不在でも愛情深く育てられることを描きたかった」と語っていた。
再度だけど、全夫に見てほしい、「良いママ(パパ)になりたい」と思ってほしい。

✅魅力に感じたところ

  • 父親視点の育児映画として希少
    シングルファーザーが主人公の作品は少なく、父性の葛藤や成長を丁寧に描いている点が新鮮。
  • ケヴィン・ハートの演技が意外性あり
    コメディ俳優として知られる彼が、感情を抑えたドラマ演技に挑戦。実際の父親でもある彼の演技には説得力がある。
  • 周囲の人間関係が温かい
    親友や義母、職場の上司など、マットを支える人々の描写が優しく、孤立しない育児環境が描かれている。
  • 子育てに正解はないというメッセージ
    完璧を求めず、試行錯誤する姿がリアル。

❓気になったところ

  • ストーリーの起伏が少ない
    大きなトラブルが最初の妻の死のみで、展開が少なくスケールが落ち着いており、淡々と進む印象。
  • 演出がやや平坦
    感情の盛り上がりや映像的な工夫が控えめで、映画としてのドラマ性に欠けると感じる人もいる。
  • コメディ要素が控えめ
    ケヴィン・ハート主演ながら、笑いの要素は抑えられており、期待した人には物足りない可能性あり。

🎥映像について

この作品は、感情のリアリズムと父性の描写に重きを置いた作品。

  • 映像評価は平均的
    撮影や構図に特筆すべき斬新さはないが、家庭的な温かさを感じさせるトーンで統一されている。
  • 色調は柔らかく、自然光重視
    家庭や学校、職場などの日常空間をリアルに描写。
    過剰な演出は避け、親しみやすい画作りがされている。
  • 音楽とのバランスも控えめ
    感情を煽るような音楽は少なく、静かな演出が中心。これは父親の内面を描く意図とも一致している。

以上、「ファザーフッド」の感想でした。

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