作品情報
- 公開:1991年10月19日
- 上映時間:128分
- 制作:アメリカ
- 監督:リドリー・スコット
- 視聴方法:PrimeVideo
キャスト
- スーザン・サランドン(ルイーズ役/しっかり者のキャリアウーマン)
- ジーナ・デイヴィス(テルマ役/普通の主婦)
- ハーヴェイ・カイテル(ハル役/ルイーズの上司)
- マイケル・マドセン(ジミー役/ガソリンスタンドで出会う男)
- クリストファー・マクドナルド(ダリル役/テルマの夫)
- スティーヴン・トボロウスキー(マックス役/警官)
- ブラッド・ピット(J.D.役/若い銀行強盗)
- ティモシー・カーハート(ハーラン役/小物犯罪者)
あらすじ(ネタバレなし)
親友同士のテルマとルイーズは、日常からの逃避を求めてドライブ旅行へ出発する。
しかし、旅の途中で予期せぬ事件に巻き込まれ、ふたりは思いがけない逃亡劇へと突き進んでいく。
以下、ネタバレあり
あらすじ(ネタバレあり)
🟩起:旅の始まりと事件の発端
専業主婦テルマとウェイトレスのルイーズは、週末に知人の別荘へ向かうドライブ旅行を計画する。
テルマは亭主関白な夫ダリルに黙って家を出る。
途中、ふたりはナイトクラブに立ち寄り、テルマは酔ってハーランという男と外へ出る。
ハーランはテルマに暴力を振るい、レイプしようとするが、ルイーズが銃で彼を脅して止める。
ハーランの侮辱的な言葉に激怒したルイーズは、衝動的に彼を射殺してしまう。
ふたりは警察に通報せず、その場から逃走する。
ルイーズは自首すれば不利になると考え、メキシコへの逃亡を決意。
恋人ジミーに送金を依頼し、オクラホマ・シティへ向かう。
道中、テルマは夫に電話するが、冷たい態度に傷つき、逃亡に加わる決意を固める。
🟨承:逃亡と喪失
オクラホマに到着したふたりは、ジミーと合流し、彼から逃亡資金を受け取る。
テルマは途中で拾ったヒッチハイカーのJ.D.と一夜を共にするが、翌朝、J.D.は資金を持ち逃げして姿を消す。
責任を感じたテルマは、J.D.から聞いた強盗の手口を真似てスーパーで金を奪い、逃亡を続ける。
刑事ハルはふたりの行方を追いながら、彼女たちが悪人ではないと確信し、保護しようとする。
ルイーズは上司のハルと電話で話し、警察が彼女たちの目的地を把握していることを知る。
J.D.が警察に情報を漏らしていたのだ。
逃亡を続ける中、ふたりはスピード違反で警官に止められ、銃で脅して警官をトランクに閉じ込める。
罪を重ねながらも、テルマは積極的になり、ルイーズは彼女に付き合い続ける。
🟥転:追跡と決断
警察とFBIによる大規模な捜査が始まり、ふたりは指名手配犯として激しく追跡される。
逃走の途中、ふたりはトラック運転手に侮辱され、彼のタンクローリーを爆破する。
ハルは再び電話で説得を試みるが、ルイーズは「帰れない」と答える。
ふたりは国境を目指すが、警察に包囲され、逃げ場を失う。
グランドキャニオンの断崖に到達したふたりは、車を止めて話し合う。
テルマは「行こう」と言い、ルイーズは彼女の手を握る。
🟦結:終焉と余韻
ふたりは車に乗り込み、警察の呼びかけを無視して、断崖へ向かってアクセルを踏み込む。
グランドキャニオンの断崖から空中へ飛び出し、空中を舞ったまま画面が静止する。
エンドクレジットが流れ始め、ふたりの姿は映らない。
感想(ネタバレあり)
わたしの大大大好きな映画のひとつ。
好きな映画10本挙げろと言われたら、必ずランクインする。
「あんたは夫よ、父親じゃないわ!」というテルマの初めての反撃が素敵!!!
女が強く生まれ変わる瞬間はいつも美しい。
直後、運転席に座るルイーズがバックで一直線に進み、「ガソリン満タンね」と言うシーンも別の意味でカッコイイ。
テルマもルイーズも、自由で柔軟で良い。
ルイーズが尊く切ない一晩を過ごしジミーと別れたのに、夜が明けたらテルマはワンナイトにはしゃいで顔を出す様がグロすぎた。
からの強盗…これまでかっこよかったのに、心が折れるルイーズ。
一方で、箱入り主婦だったのに腹を括って輝き出すテルマ。
「テルマは強盗犯としてオクラホマ州に指名手配されてる」と警察から電話で言われた時の2人の顔だけのやり取りすごく好き。
女子特有の眉毛と目と口角で感情含め会話も成り立つやり取り。
道中で2人を止める警察官、1人で行動してるのって普通なのかなぁ。
2人1組でパトロールしてそうだけど。
この警察官はシンプルにスピード違反だけだったのかなぁ〜
さすがにキモいおっさんを呼び出してある意味ボッコボコにするのはやりすぎだと思うけど笑
テルマ、178cmってスタイルいいなぁ!!
外国人が大きいのは、都内の電車乗ってればよく分かることだけど、本当に日本人ってちんちくりんだね。
テルマは赤毛に分類されるんだ。
相手が凹んでもヘマしても、カラッとゆるして引き上げる。
すごくいい性格してるので、一般的に言う「女って感じ」のイメージがこの2人になればいいなぁ。(犯罪を除いて)
「捕まりたくないでしょ?このまま走って!」
のシーン、アップの2人、瞳孔まで分かる2人、完全に二人きりの世界、完璧に良い。
自由のため、2人きりで最期を迎える覚悟を決めた親友同士。
なんて美しい心中だろうか。
ベタベタジトジトしていない、グランドキャニオンの砂のようにサラッ…いや、ザラっと粗くガサツで、そして美しい心中じゃないか。
精神の開放を描いた、美しいラストだ。
✅魅力に感じたところ
- キャラクターの変化が鮮明
テルマが抑圧された主婦から大胆な逃亡者へと変化していく過程が丁寧に描かれており、ルイーズとの関係性も“友情”を超えた連帯として機能している。 - ロードムービーとしての構造美
物語が進むにつれて、地理的移動が心理的解放と連動しており、移動=変化という構造が明快。 - 女性の主体性を描いた先駆的作品
1991年当時としては珍しく、女性が自らの選択で物語を動かし、社会的抑圧に抗う姿が描かれている。 - 脚本の緻密さ
カーリー・クーリによる脚本は、セリフの少ない場面でも行動や視線で心理を語る構成が秀逸。
❓気になったところ
- 終盤の選択に対する賛否
グランドキャニオンでのラストは象徴的だが、「死を選ぶしかなかったのか?」という疑問を持つ観客も多い。 - 男性キャラクターの類型化
一部の男性キャラが極端に描かれており、物語のリアリティよりも寓話性が強調されすぎているという指摘もある。
🎥映像について
この作品は、映像・構造・テーマの三位一体で“女性の逃亡と選択”を描いたロードムービーの金字塔。
- 広大な風景の使い方が秀逸
アメリカ南部の荒野やハイウェイが、ふたりの孤独と自由を象徴する空間として機能。
特にグランドキャニオンの断崖は、物語の終着点として圧倒的な存在感を放つ。 - 車内と車外の対比演出
車内では密室的な緊張や親密さが描かれ、車外では開放感と危険が同居する。
カメラの切り替えが心理描写と連動している。 - 衣装と色彩の変化
ふたりの服装が旅の進行とともに変化し、特にテルマの帽子やサングラスは“変身”の象徴として機能。
色彩も徐々に明るく、荒々しくなっている。
以上、「テルマ&ルイーズ」の感想でした。


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