タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(Tucker and Dale vs Evil)/2012

4.0

作品情報

キャスト

  • タイラー・ラビーン(デイル役/素朴で優しい田舎の青年)
  • アラン・テュディック(タッカー役/デイルの親友でしっかり者の田舎男)
  • カトリーナ・ボウデン(アリソン役/心優しい大学生)
  • ジェシー・モス(チャド役/狂気的な大学生)
  • フィリップ・グレンジャー(保安官役)
  • ブランドン・ジェイ・マクラレン(ジェイソン役/大学生)
  • クリスティー・ラング(ナオミ役/大学生)
  • シャーラン・シモンズ(クロエ役/パーティ好き大学生)

あらすじ(ネタバレなし)

森の別荘で休暇を過ごすタッカーとデイルは、偶然出会った大学生グループに殺人鬼と誤解されてしまう。
善良な2人とパニックに陥る若者たちのすれ違いが、予想外の騒動を巻き起こす。

以下、ネタバレあり

あらすじ(ネタバレあり)

🟩起:誤解の始まり

過去に起きた惨殺事件の話を面白がっている大学生グループは、キャンプに向かう途中、田舎の商店で不気味な風貌の男2人と遭遇する。
彼らはタッカーとデイル。
2人は休暇を利用して山奥の別荘を改築するために買い物に来ていた。
デイルは女子学生アリソンに好意を抱き、声をかけるが、見た目の怖さから逃げられてしまう。

別荘に到着したタッカーとデイルは、古びた内装や過去の事件を示す新聞記事を気にせず掃除を始める。
一方、大学生たちは森で起きた過去の殺人事件の話を聞き、不安を募らせる。
湖で遊んでいたアリソンが崖から落ちて気絶し、釣りをしていたタッカーとデイルが彼女を救出するが、仲間たちは彼女がさらわれたと誤解し逃げ出す。
2人はアリソンを別荘に運び、手当てを始める。

🟨承:誤解の拡大

アリソンは目を覚まし、デイルから状況を聞いて安心する。
彼の優しさに触れ、徐々に打ち解けていく。
一方、仲間たちは彼女が危険な状況にあると信じ、救出を試みる。

タッカーが蜂の巣を切ってしまい、チェーンソーを持って逃げ回る姿を見た学生が殺人鬼と誤解し、逃走中に事故死する。
他の学生も救出を試みるが、事故で次々と命を落とす。
タッカーとデイルは状況が理解できず、学生たちが自殺していると勘違いする。
保安官が現れるが、彼も事故で死亡。

学生たちはさらに混乱し、タッカーを捕らえて拷問する。
アリソンは誤解を解こうとするが、チャドは聞く耳を持たず、敵意を強めていく。

🟥転:暴走と真実

デイルは彼女を救うためにチャドと対峙する。
古い新聞から、チャドが語っていた殺人鬼の話は事実であり、彼自身がその殺人被害者の息子であることが判明する。
チャドは精神的に不安定になり、暴力的に振る舞う。

そこに乱入してきた学生たちが誤って仲間を傷つける事故が続発。
チャドはアリソンを人質に取り、別荘にガソリンを撒いて火をつけようとする。
火災が発生し、別荘は爆発。

タッカーとデイルとアリソンは辛うじて脱出。
3人は車で現場を離れるが、途中でタッカーが運転を誤り、車が木に衝突してしまう。
気を失っている間にチャドは生き延びてアリソンを連れ去る。
タッカーは命はとりとめたものの、事故の負傷で動けなくなってしまう。
デイルは愛犬のジャガースと共に彼女を追い、廃工場にたどり着いた。

工場内では、チャドがアリソンを材木に縛り付け、ランニングソーで切断しようとしていた。
デイルはチェーンソーを手に突入し、チャドと激しく格闘し屋根裏へ逃げ、古い新聞を発見する。
そこには、20年前の惨殺事件の犯人の顔がチャドに酷似しており、彼が殺人鬼の息子である可能性が示される。
アリソンはその事実をチャドに突きつける。

🟦結:真実と再生

チャドは自分が殺人鬼の息子であると知り、精神的に崩壊し、怒りと混乱の中で襲いかかるが、デイルがチャドにカモミールティーの茶葉を投げつける。
チャドはアレルギー反応で呼吸困難となり、製材工場の窓から転落。
事件は大学生たちによる集団自殺として処理され、真相は伏せられる。

タッカーは病院で指の再接着手術を受け、デイルはアリソンとボウリング場でデートを楽しむ。
物語は、誤解と悲劇を乗り越えた2人の友情と恋の始まりを描きながら、静かに幕を閉じる。

感想(ネタバレあり)

序盤に大学生たちが森で「各々が持ち寄った怖い話」をするシーンで、実際にこの森で起きたらしい殺戮事件の話を披露するが、その再現映像がめちゃめちゃタッカーとデイルの後ろ姿なのがまず最初の笑いどころ。
森、湖、キャンプ、大学生たち、汚い大男たち、これはもうB級スラッシャー・スプラッターの定番!

タッカーもデイルも可哀想ではあるんだけどね、でも電ノコ振り回してる男が現れたら怖いて。
逃げるて。(笑)
それで「携帯は意味ないッ!」「アリソンを殺したのね…!」「おめぇの友達を預かっている」という誤解。
ホラーの定石を信じすぎ!
そして木の粉砕機?が出てきたところでしっかり予想できました。
フーゴの足~~~!
「Are you Okay!?」じゃないんよ。(笑)

そして2人も自分たちが「被害者」「応戦する側」だと思っているのも面白い。
この殺戮対決の中、2人の友情が芽生えたり、アリソンとだけ信頼関係が結ばれるのも笑える。

話し合いのシーン、「どこから話そうかな…俺が生まれるずっと前…」。
私もアリソンと同じく「遡りすぎや!」とツッコミ入れたら、まさかの「持ち寄った例の話」に。
そしてまた事故の連鎖…
もし天国や地獄に行く審判があるとしたら、「過失致死」ってどっちに行くんだろうな?と考えてしまった。

最後は立場が逆転し、チャドが殺人鬼風に。
でさ、これも定石だけど、運転中に運転手は後ろをまじまじ振り向くなっちゅーねん!(笑)
私ならゾンビに追われても、カーチェイスしていても、後ろは向かんぞ!
ルームミラーを見なさい。

そしまさかの真実。
このタイプのストーリーにまさかのどんでん返しがあったとは。
顔が似てるってだけじゃ確信はないけど…
でもそれだけで、チャドには充分な衝撃だったんだね。

最終的に冤罪(?)をかけられなくて良かったものの、アリソンがもし死んでいたら全部犯人にされていた可能性もあって怖い!

✅魅力に感じたところ

  • ジャンルの逆転構造が鮮やか
    スラッシャー映画の“殺人鬼 vs 若者”という定番構図を逆手に取り、“善良な田舎者が誤解される”という視点で描いている
    観客の先入観を利用した構造が、笑いと緊張を同時に生む
  • テンポの良さと脚本の整理力
    88分という短尺ながら、誤解→混乱→暴走→収束までの流れが明快
    無駄な説明を省き、視覚的なギャグと状況の積み重ねで物語を進行
  • キャラクターの魅力
    タッカーとデイルの“気のいいおっちゃん”像が、観客の共感と笑いを誘う
    チャドの暴走も、ホラー的テンプレートを踏まえた演出として機能している。

❓気になったところ

  • 後半の展開がやや雑
    製材工場での対決やチャドの出自の明かし方が、唐突で力業の帳尻合わせに感じる
    結末の処理(事件の報道やチャドの行方)が軽く流されてしまっている
  • スプラッター描写のバランス
    コメディとしては軽快だが、グロ描写が苦手な人にはやや過剰に映る可能性あり
    笑いと残酷さの境界が曖昧な場面もある。

🎥映像について

この作品は、いかにもスラッシャーなロケーションや死に方が魅力的。

  • ロケーションの活用
    森・湖・別荘・製材工場など、スラッシャー映画の定番舞台を忠実に再現している。
    自然光と荒れた内装が、“田舎の不気味さ”と“誤解の温床”を演出。
  • カメラワークと編集
    誤解を生む視点操作(チェーンソーを振り回すデイル)など、観客の視点を巧みに誘導している。
    死の瞬間を“ピタゴラスイッチ的”に見せる編集が、ブラックユーモアとして機能している。
  • 色彩と質感
    全体的にくすんだ色調で、田舎の空気感と不穏さを表現
    血の赤や炎のオレンジが、緊張のピークを視覚的に強調している。

以上、「タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら」の感想でした。

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